錦は佳いよ!
白と緑のコントラストが美しく神秘的な模様を魅せるのもあれば、ウエストレインボーみたいに様々な色合いでワクワクするのもあります。
が、育てにくいんだこれが。。。
ちょっと油断するとすぐ溶けてしまう困ったさん。
だがそこがいい!
錦の品種を育ててみたい人もたくさんいると思いますので、錦の育てにくさをひも解いてみたり、もじゃさんがこれまで錦と触れ合ってきた中で得たコツみたいのを紹介します!
錦は楽しーよ、みんなで育てましょう!
錦 斑入りとは?
そもそも錦や斑入りってなんなの?というの人はあまりいないと思いますが、とりま解説します。
まぁ錦=斑入りで大丈夫です。
葉の色素形成異常で葉緑体が正しく作られなくなったところが白くなります。
これが様々な模様を作り品種の希少性を高めています。
白い部分は白色体(プラスチド)という葉緑体の前の段階の細胞になっています。生化学の分野では前駆体と言います。ちょっと重要なので覚えておいた方が良いですね。テストに出ますよ。
斑入りになる原因
上の写真の緑だけのやつはハオルチアの宝草です。で白い筋の入ったものは宝草錦です。
ちなみに、宝草錦が親株でどちらも同じ親株出身です。のちに出てくるパターン2のやつですね。
一般的に錦から出た子株で全部緑色になったものを「斑抜け」と言います。
さて、斑が入る仕組みについてですが完全に解明されてはいませんが、ある程度原因が分かってきています。
色素異常が起こる原因は主に4つです。
- 先天的な遺伝子欠損によって葉緑体が作られなくなる
- 後天的に遺伝子が不活性化し葉緑体が作られなくなる
- ウイルスによっておこる病斑的な斑入り(モザイクウイルスなど)
- 高温・低温、強光などのストレスによる生理障害
あと例外で、薬剤塗布による人工的な色素欠損があります。
ちゃんと育たないことが多いですし、薬剤のふれたところだけしか色素欠損しないため、後から葉っぱが出た場合は普通の葉っぱです。
何より色んな意味で美しくないのでそういうのは買わないでほしいです。
さて、1についてですが、これは株全部の細胞が色素を作る遺伝子の一部ないし全部が欠損していて斑入りが永続的なものになっているものです。次代に形質を引き継がせやすいです。
2は、生育過程でストレスや紫外線で株の中の葉っぱを作っている部分で遺伝子が不活性化や欠損をして葉緑素が作られなくなったパターンです。
株では色素欠損が固定されておらずその葉っぱだけなので葉挿し推奨。葉挿しっ子が斑入りになったらラッキーです。
前駆体の白色体が不活性になっているだけなら、何かのはずみで活性化することもありますので、その時は葉緑素が作られるようになり斑が戻ります。
3は歴史が深く、17世紀くらいのヨーロッパではウイルス性斑入りのチューリップがとんでもない値段で取引されておりました。
主にモザイクウイルスの罹患によっておこります。ウイルスの増殖した細胞で色素が作られなくなり斑が入ったように見えます。いろんな模様になるので好まれたようです。
しかし、結局は病斑ですし、植物体が弱ればウイルスは活発になり病斑部分が壊死していき植物全体が枯れることになります。
アブラムシやハサミなどを使いまわすことで感染が広がっていきます。
4は環境ストレスによって一時的に色素が作られなくなった状態です。にじんだような斑になることが多いです。また、環境と植物の調子が整えば斑がなくなり普通の葉に戻ります。
このブラックプリンスがそうですね。
強光、高温化で色が抜けてしまったものです。成長期が終わるころには戻っていました。
色素欠損は基本的に劣勢遺伝(今は潜性遺伝というのかしら)なので、交配させても斑入りが出ないこともあります。
ちなみに、ハオルチアでは葉の色は雄株由来なので劣性遺伝とはまたちょっと違うのかなーと思いました。
斑入りの品種が育てにくいのは何で?
初心者には斑入りは育てるのが難しい、、、と慣れていない人からは敬遠されがちなのですが、ぜひ育ててみてほしいです!
斑入りの魅力を楽しんでほしいのです!
仕組みが分かればなんて事はないと思いますので、斑入り沼にはまりましょう。
先も述べましたが、斑の部分は光合成をおこなう葉緑体のない部分です。
光合成をおこなう部分が少ないということは、生産されるエネルギーや代謝物の量が少ないということです。
また、光子を受け止める部分も少ないということは光ストレスの許容量が少ないということで
ドラクエ風に言えばHPもMPも防御力も低いということです。
普通の状態の植物は100のパワーを持つ日光を浴びた時に、80パワーを利用して光合成して余った光で20ダメージ受けます。そして、40のエネルギーと40の体の部品を生産できます。
対して、体の50%に斑が入っている錦くんは、100のパワーを持つ日光を浴びた時に、40パワーを利用して光合成し余った光で60ダメージ受けます。そして、20のエネルギーと20の体の部品を生産できます。
知っていますか?日光は植物にとってストレスであり過剰な光はダメージになるんですよ。
ということで、数値は現実に則していませんがイメージとしてはこんな感じです。
まず、ダメージの回復に手間を取られ、少ない部品とエネルギーをやりくりして成長していくので非常にゆっくりだし環境ストレスに弱いです。
だから、錦くんは普通の植物と同じ光量下で管理すればダメージを受けて弱りやすいですし、光合成量が絶対的に少ないので基礎代謝を賄うのも大変なんです。
ということを踏まえて育て方は以下のような感じでいきましょう。
錦(斑入り)の育て方のコツ
最初の方に書けやいっ!と言われそうですが、錦の性質を理解してから育て方を読んだ方がより理解が深まるかなーと思いまして。。。
斑入りを上手に育てるコツは
柔らかな日差しの元、長時間日光浴する。
に尽きます。
後、欲張らない。これ大事。慌てたり早く育てよーと欲を出すと溶かします。
てか、溶けました。1年以上かけて頑張って育てたのに欲を出した途端2日で・・・(´;ω;`)
さて、具体的にはどういうことかというと
光合成量が少ないということは、それに使用する水や栄養素も少なくなります。
当然、根からの吸水量も少ないです。
葉緑体のしっかりある株に比べて、受け取れる光の強さの上限も低いとなると、室内を想定した日ごろの管理は以下のようになります。
- 水やりの量は少な目
- 肥料の量も少な目
- 遮光は1割くらい強くして日照時間は3割伸ばすくらいのイメージで日当たりを調節する
って感じです。
日光→運動、水→白飯、肥料→肉、として食の細いインドアの子に健康に育ってもらおうと思ったときどんなお世話しますか?その答えを錦くんにしてあげると良いです。
もしご家庭でそんな長時間、丁度いい日光当たらないよっ、っていう人は植物用のLEDで補ってあげると良いですよ。
あまり費用をかけたくないし部屋の雰囲気を壊したくないって人は、やっぱりLUCHEがおすすめです。
がっつりしっかり栽培したい!って人は今大人気のAMATERASUが良いと思います。これすごいね。
ちなみに、もじゃさんの温室では錦も普通の株もごちゃまぜで管理しています。でも、水やりの量は様子を見ながら少なめにしたり、日当たりのよすぎる場所は避けています。
また、斑の入り方でも育て方を少し調節します。
こんな感じの株で大体半分くらいまでだったら、普通の株と同じような環境で、気持ち水少な目で暗めの場所で育てます。
これは子宝草錦とガステリアの子宝錦です。ぽちょんと落ちている子宝草はおまけです。
糊斑や70%以上斑が入っている場合は、かなり気を使います。
これも子宝草ですが、細葉で緑の部分がかなり少ないものです。
土がすぐ乾くように少し小さめにしたり土を少なめにしたりします。強い光が当たりすぎると真っ白な葉っぱから溶けていきますので、通常よりも2割ほど暗い場所で管理します。
でも、ピリフェラ錦みたいに固定化された糊斑は結構丈夫なので、日当たりの良いところに置いてガンガン締めます。
↓ピリフェラ錦(白水晶)
緑の部分が灰色になってきたら日に当たり過ぎサインなので、少し光量を下げるか日照時間の少ないところに移動します。
お化けみたいな黄斑はV.I.P待遇で熱くなり過ぎず、曇りの日ぐらいの光量が長時間続くような環境を作ります。
↑こういうやつね。
というか、私は自室にトロ箱で育成箱作ってLEDで甘やかします。欲張って農場で大きくしようとしたら失敗したので。
ちなみに黄斑は葉緑体の欠損ではなくて、うすーーーく残っている状態です。緑に見える部分が葉緑体100個だとすると黄色のところは色の濃さにもよりますが5個とか3個とかのレベルです。
なのでほんと、慣れてない人は超温室育ちくらいの環境でやってもいいと思います。
あと、温室で斑入りの品種を管理するときに気を付けていることは、鉢の中が濡れすぎていないかをこまめにチェックします。
吸水量が少ないため、水が残りやすく土が傷んで根腐れにつながってしまいます。
もし、びちょびちょに土が濡れていて根っこが少ないようでしたら、すぐに土を新しいものに入れ替えて様子を見ます。
斑入りを枯らす原因は葉焼けと同じくらい根腐れから株を腐らすことが多いです。
だから土がいつまでも湿っている環境にならないように気を付けましょう。
斑入り 錦の育て方のまとめ
斑入りの品種は光合成の場である葉緑素を持つ葉緑体が少ないため、エネルギーや代謝副産物の生産量が少ないため成長が遅く、環境ストレスによるダメージにも耐性が低いです。
そのため、育てにくい、と言われています。
ほんと斑入りのグリーンネックレスは綺麗なんだけど何回も失敗してます。あいつ苦手。
さて、そんなお姫様を育てるにはどうしたら良いかというと
柔らかい日差しに長時間当てる、ということです。
レース越しの日差しや、薄曇りくらいの明るさでたくさん光合成をさせてあげることで、体を丈夫に育てることができます。
あとは、水やりも土が湿った状態を長くと根腐れしやすいので、斑なしの多肉よりも気持ち少な目で管理してあげると良いと思います。
斑入りは、その個体によって全然雰囲気違うから同じ品種でもたくさん集めたくなってしまうヤバい代物です。
でも写真映えはするに見てて楽しいし是非手元に置いておいてもらいたい子でもあります。
育て方は慣れるまでちょっと大変かもしれませんが、チャレンジしてみてくださいね!