多肉植物の水やりについて 検証してみた やり方や培養土の種類で全然違うよ!

多肉植物の水やりについて 検証してみた やり方や培養土の種類で全然違うよ!

多肉植物の水やりって難しいってイメージありませんか?それは多分ちゃんとそれぞれの植物に合った水やりを体験したことが無いからだと思います。 

日本人のほとんどは小学校の夏休みの宿題かなんかで朝顔やひまわりの観察日記をつけた経験がありますよね。

その時に、朝晩たっぷりとお水をあげてくださいね、と指導された記憶はありませんか?この経験をもとに多肉植物をはじめ観葉植物にお水をあげようと思うとほぼ確実に失敗します。
 

あれは、「夏の、生育の速い」植物用の水やりの仕方です。
 

水やりは、それぞれの植物の特徴、成長の仕方、植えてある培養土の種類や量、季節、置いてある環境(室内か、屋内か、日当たりが良いか悪いかなど)で全く異なります。
 

せっかく植物に興味を持ってか、何かビビビッとくるものがあってかお家に連れてきたので、しっかり管理出来て愛でてあげられるようになってほしいと思います。

そんなわけで、今日はハオルチアを使って水のやり方と植込み資材の種類で鉢の中の水分がどんな風に減っていくかを検証して、考察して水やりのコツを紹介します。

実験1 水苔を使って水のやり方の違いで保水量と減り方を見る

実験試料

  • ハオルチア ピリフェラ
  • ハオルチア 瑠璃殿錦
  • ハオルチア 京の舞
  • 素焼き鉢 2号
  • 水苔 乾燥重量 約15g
  • 水 100g

この子たちです。

ハオルチア 水やり タイミング 実験 その1 

実験方法

2号(直径約6.6㎝)の素焼き鉢に水苔とハオルチアをウォータースペースが2cmくらいできるようにして、ハオルチアが抜けないようにしっかり詰める。

下記の方法で水やりを行い、電子測りでその変化を計測します。
 

使っている電子はかりはこちら↓

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超ショックorz
 

さて、水苔についてですが、あとで詰め方も説明しますが、一度別のハオルチアを使って植えつけたものを限界まで乾かして乾燥重量を測りました。

多肉植物 水やり 実験 水苔

多肉植物 水やり 実験 水苔の重さ
 


ということで、使用する水苔の量は15gくらいが目安です。

次は水やりの方法です。

水のやり方は三つの区分に分けました。

  • ゆっくり染み込ませる
  • ざっと注いで浸み込ませる
  • ざっと注いですぐ捨てる

それぞれ下記の方法は動画にしてみましたが、まだ編集し終わっていないので後ほどアップします。
 

「ゆっくり染み込ませる」は、ウォータースペースからこぼれないように水を注ぎ、すべて浸み込んだら再び注ぐを繰り返し水100gを使い切るまで行います。

 

「ざっと注いで浸み込ませる」は、ウォータースペースからあふれても知るもんかっという心意気で100gの水をザっと注ぎ、ウォータースペースにたまった分だけ浸み込ませます
 

「ざっと注いですぐ捨てる」は、ウォータースペースから溢れさせて申し訳ありませんっという心意気で100gの水をザっと注ぎ、約1分浸み込ませて残った分を捨てます。
 

その後、電子はかりで測定面が濡れないように器を置いてゼロ合わせを行い、鉢の重さを測定します。経時的な水分の減少量を測定し写真で記録します。

実験結果

実験1回目

多肉植物 水やり 実験 水分現象量実験1

  1. ゆっくり注ぐの水やり直後の重さが100gを超えていたが計器や器の誤差と考え、ほぼすべての水を吸収できた。
  2. ざっと注いで浸み込ませるについては、ウォータースペースにたまった水の分吸水できた。
  3. ざっと注いで捨てるは、1分ほどの浸水で染み込ませるものの半分程度の吸水量になった。
  4. 1週間でほとんど最初の状態に近くなった。
  5. ゆっくり注いだものは週の前半で大きく水分量を減らしたが、後半は減少量が低下した。

実験2回目

再現性を取ろうと思ったら、うっかり実験方法を間違えた。あとで底面吸収は再現性を取ることにした。また、ざっと注いで浸み込ませるは再現性を取ることを諦めた。

底面吸収は器に100gの水を入れ、そのほとんどが吸収されるまでの時間を測り、水分量も測定した。

多肉植物 水やり 実験 水分現象量実験2

  1. 底面吸収では器の中の水をほとんど吸水するまでに30分かかり、吸水量は82.23gだった。
  2. 今回は吸水したものがほぼなくなるまでの期間は5日だった。
  3. 最初の3日で7割以上の水分がなくなっていた。
  4. 8月3日にそれぞれで1gくらい増えていた。

 

実験3回目

底面吸収の再現性を取るべく、前回までに使っていた3種類の素焼き鉢を使って100gずつの底面吸収を試みた。

多肉植物 水やり 実験 水分現象量実験3

  1. 吸水量にばらつきが出たが、減少する傾きはほぼ一緒だった。
  2. 大体1週間くらいで水分はほぼなくなった。
  3. それ以後の約一週間は重さに減少はほぼ見られなかった。

 

考察

水苔を約15g詰めた素焼き鉢はほとんど乾いた状態になるが、多肉植物を育てるときに重要な「しっかり乾いた」状態にするためには10日くらいは水やりの間隔を開けたほうが望ましいと言える。

水のやり方については、ウォータースペースに水を溜めてすべて浸み込んだら追加するスタイルが、100g水を与えるときで一番吸水量が多かった。

 

そして、1週間経っても水分が残っていたことから、水あげの間隔を広く取れて楽かもしれないが、水あげの時の手間は正直めんどい。

初回の実験に比べて、二回目と三回目の実験で水の減り方に大きな差が出たのは、気候の差が原因と考える。
 

実験期間の7月17日から24日までの平均気温が21.9度~26.2度、最低気温が19.9度~23.6度、最高気温が22.1度~30.5度、前半の期間は日照時間が19.4時間とほぼ雨だったため、鉢やミズゴケからの蒸発量、植物からの蒸散量が抑えられたと推測する。
 

24日から8月5日までは平均気温が25.0度~28.4度、最低気温が21.1度~25.5度、最高気温が29.0度~34.2度、前半の期間は日照時間が最初の3日で25.6時間と天候が回復したのでその分水分量の減りが多くなったと考えられる。
 

3回目の実験により吸水時の8月5日から約二週間後の18日でも3鉢とも水分増加量が基準値から-0.66g~0.24gの範囲だったので、株からの水分減少はないものと推測できる。

夏場の管理としてはハオルチアは休眠期になるので水苔と素焼きの鉢で育てるならざっと注いで捨てる水やりの仕方で、2週間から3週間に1回水分補給くらいの水やりを行うと良いと思われる。

 

多肉植物の水やり実験 素焼き鉢と水苔の水やり のまとめ

2号の素焼き鉢にミズゴケを入れて水分量の変化を追ってみたが、このサイズの鉢だったら生育期の水やりは100gくらいの水でしっかり浸み込ませられれば丁度良い。

素焼き鉢とミズゴケで生育させる最大のメリットは鉢の中の温度が非常に上がりにくいということ。

ミズゴケから素焼き鉢が水分を吸収して常時蒸発していることによって気化熱で鉢が冷やされる点と、素焼き鉢も水苔も空気を大量に含むことができるので断熱材としての役割を果たすため酷暑の中で日光を浴びても根の周りの温度はそれほど高くならない
 

デメリットは水やりに少しコツがいること

ミズゴケはカラカラに乾いていると表面張力で水が非常に染み込みにくく水をあげたつもりでも全然湿ってなかったりする。

逆に湿っているときは非常に吸水力が高くちょっとあげたつもりでもびちょびちょになってたりすることもある。
 

今回の実験から分かるようにじっくり染み込ませたものとざっと注いで溜まってたものを捨ててしまったものでは保水量が60~70gほど違った。
 

ハオルチアは春秋型で過ごしやすい時期に成長するため、この時期の水やりや底面吸収やじっくり染み込ませるやり方で肥料や水分をしっかり与え、夏や冬の休眠期はざっと与えて水分補給程度にとどめておくと、根腐れの心配が少ないと思われる。
 

また、鉢の大きさやミズゴケを詰める量で水やりの量はだいぶ異なるので注意すること。

3号の鉢になると容量は2倍くらいになるのでもし水苔を詰めるなら水の量は200g以上となる。
 

ちなみに、ハオルチアを水苔素焼き鉢で育てた感想としては、根腐れはほぼしないが、結構水遣りの間隔を広く取って量も少ないので成長は遅め。

あと鉢上げの作業がめんどい。

貴重な親株候補を管理したりするのにはちょうどいいかもしれないと思った。
 

で、ふと我に返ったのですが、レポートを書く、と意識したら実験方法辺りからですます調がなくなっていたので、ちょっと草w

実験2 培養土とバークで水をやった時の変化に違いがあるか見てみる

ということで、普通の観葉植物用の培土ともじゃさん特製のバークチップがメインのバーク堆肥と混ぜたオリジナル培養土で水の減り方に違いが出るか見てみました。

多肉植物を素焼き鉢で育てる人は、もじゃさんみたいな稀な存在で、一般的にはプラポットと培養土で育てる人が多いと思います。
 

そんなわけで、2号のロングポットに市販の培養土とバークで植えたもので実験してみました。

ですます調がなくなっても暖かい目で見守ってあげてください。

実験試料

  • 2号ロングポリポット(半透明)
  • バーク植えゴールドラッシュ×2
  • 培養土植えビッタータ
  • 培養土植えゴールドラッシュ
  • 水100g
  • 電子はかり

実験に使ったのはこの苗たちです。

ハオルチア 水やり タイミング 実験 その2

実験方法

ハオルチアは太い根っこを深くまで生やす性質があるので、通常のポリポットよりも背の高い2号ロングポリポットを使って2か月ほど生育させた株を使った。

ポットには目印としてゆっくり注ぐ区画のものにはオレンジ色のフラワーピンチを付けた。
 

ざっと注ぐ方は100gの水をポットからこぼれないように一度に注ぎ、1分静置し水が切れたところで重さを計測した。
 

ゆっくり注ぐ方は、約20g程度をポットからこぼれないようゆっくり注ぎ、30秒ほど静置してから残りの水をゆっくり注いだ。全量注いだ後1分静置し水が切れたところで重さを計測した。
 

その後、日ごとに重さを計測し水分の変化量を計測した。

 

実験結果

一回目

多肉植物 水やり 実験 水分現象量実験4

  1. 大体1週間で土の中の水は乾ききった
  2. 土が乾ききった後も水分量が減っていった。
  3. 最終的には元の重さよりも20g前後減っていた

二回目

多肉植物 水やり 実験 水分現象量実験5

  1. 初日の給水量が1回目に比べ10gほど多くなった
  2. 12日後の水分量も10gほど多くなった。
  3. 概ね1日10gずつ減っていて、1週間後から5gずつ減るようになった

 

考察

観葉植物用の土とバークとバーク堆肥の混合用土で水分量の減少の傾きには大きな差が見られなかった。2号ポットなので容量が小さかったため差が出にくかったと考える。

4号などの大きな鉢になると粒の大きいバークが入っている方が乾くのが早くなるかもしれない。
 

27日は雨だったので温室内が高湿度になり減少量が抑えられたものと考える。

水の減り方から、1週間でほぼ増加分の水分がゼロになっていることから、その後減少量は蒸散により生体重が減少したものと考えられる。

素焼き鉢に比べてポットの中が熱くなり植物体の温度を下げるために蒸散量が増えたと推論する。
 

2号のロングポリポットの場合、土の量にもよるが8分目まで入れてある状態だと、水の減少量から100gの潅水量だと少ないので150g~200gの水の量、およそコップ一杯分の水が適当かと思われる。

 

培養土とバークの水やりのまとめ

素焼き鉢のものに比べ鉢内の温度が上がりやすく株への負担が大きいことが分かった。

多肉植物を夏に枯らす原因で多いもので鉢の中が蒸し焼きになってしまい根が死んでしまうか根腐れしてしまうことが挙げられる。
 

今回は透明ポットを使用したが、太陽光の熱を吸収しやすい黒や緑など色の濃いプラ鉢もしくはポリポットを使って育てている人も多く、中にはリメ缶などのより熱くなりやすいもので育てている人もいる。
 

多肉植物は乾燥ストレスには非常に強いが、根っこの蒸れにはとても弱いので、今回の結果から多肉植物を育てるのに慣れていない人は、乾燥や高い外気温よりも鉢の中の温度に気を使った方が良いと思われる。
 

また、透明のポリポットを使った理由の一つとして土の中の水分の状態が分かりやすいということがある。

これは水やり直後のポットの中、土が黒くなっていることが分かる

多肉植物 水やり 検証 培養土の水やり直後の状態
 

乾いてくると土の色が茶色っぽくなってくる、もっと乾くと袋に入っていた時の土の色と同じになる。
 

下の写真はまだ水分を少し含んだ土の色。

この写真の時はポットの内側に少し水滴がついているので、もう少し乾かす必要があるな、と判断できる。
 

透明なポリポットだと水がどれだけ残っているかが分かりやすく、水やりのタイミングの目安になる。
 

多肉植物 みずやり 検証 水やってから少し経ったときの状態

 

総括

多肉植物の水やりは初心者の人には本当に鬼門かと思います。

やっぱり慣れるには実際に何回も水やりのタイミングや量を試行錯誤しながら体得するしかないのですが、こんな感じで数字とグラフ、透明ポットでリアルタイムで土の状態が分かるとかの検証結果があると、水やりや土の湿り気などの観察と管理がやりやすくなるかと思います。
 

多肉植物の水やりの基本的なコツは、土がしっかり乾いてから、土に満遍なく水が流れて、しっとりする程度の湿り気になるような量の水やりです。
 

実験結果では1週間で概ね乾いていますが、2号の鉢とロングのプラポットでの結果ですので、ご自身で管理されている鉢に合わせて調節してくださいね^^
 

市販されている多肉植物用の土や観葉植物用の土など、お使いになっている土の種類や鉢に入れる量で乾き方は結構違います。

また、屋内、屋外、置いてある場所の日当たり、風通しなどの環境要因でも水やりのタイミングは変わってきます。ご自身で減り方の観察や記録をしてみるのが慣れる一番の近道だと思います。
 

電子はかりを買うのがめんどい、という人には水をあげる前、あげた後、何日か経った後、水やりの直前、で鉢を手にもって重さを感じてみてください

水が残っているときとカラカラに乾いているときの重みが違いますし、重心が違います。ちょっと試してみてくださいね。
 

また、今回は温室で実験しましたが、多肉植物の寄せ植えなどを室内でインテリアとして飾っている人もいるかと思います。

そんな時は水の量などはもっと少なくなりますが、タイミングが取りづらいかと思います。

そんな時は葉っぱの艶を見ると良いです。乾燥してくると張りがなくなってきますのでそのタイミングで土が少ししっとりするくらいのお水をあげると良いでしょう。
 

今回の結果が、楽しい多肉植物ライフの一助になればいいなと思います。

最後まで読んでくれてありがとうございますヾ(*´∀`*)ノ

余談:ハオルチアのその後の状態

最後に記録を取った8月18日から3週間。お水をあげずに放置していた実験に使ったハオルチア達を気が向いたので計測してみました。

素焼きピリフェラ
8月18日 125.57g→9月14日 124.33g
差 -1.24g

素焼き瑠璃殿錦
8月18日 115.59g→9月14日 115.02g
差 -0.57g

素焼き京の舞
8月18日 124.47g→9月14日 123.27g
差 -1.20g

培養土ざっとビッタータ
8月18日 130.87g→9月14日 114.74g
差 -16.13g

培養土ゆっくりゴールドラッシュ(青雲の舞)
8月18日 109.8g→9月14日 99.08g
差 -10.72g

バークざっとゴールドラッシュ(青雲の舞)
8月18日 95.12g→9月14日 71.24g
差 -23.88g

バークゆっくりゴールドラッシュ(青雲の舞)
8月18日 85.13g→9月14日 65.35g
差 -19.78g

多肉植物 水やり 実験 水分現象量実験その後2 多肉植物 水やり 実験 水分現象量実験その後1


素焼き鉢の方がずいぶん萎れているのにあまり重さが減っていないのは、おそらく台風15号の時の高温多湿時にミズゴケと素焼き鉢が湿度を吸って少し重くなったからかなと思います。

ポリポットのハオルチアの方はがっつり重さも減ってますしね。

ちなみに、いずれの鉢も水をたっぷり上げました。

多肉植物 水やり 実験 水分現象量実験その後3

素焼き鉢はたっぷりの水に浸水させて一晩放置です。

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