今、世間で激熱と噂(多分)のハオルチア。
ホームセンターで簡単に手に入る宝草とかパルバとかの普及種はとても丈夫で育てやすく、簡単に増えるので園芸初心者でも楽しめます。
さらに2株以上あれば交配による自家採種が楽しめるんです!あなただけのオリジナル品種が作れるんですよ、すごくないですか!下手したら一攫千金です(`・ω・´)
まぁ、一攫千金狙うには徹底的な市場リサーチと根気が必要ですが。。。
ハオルチアは親株が2種以上あれば、交配は容易にできますので、種がポコポコたくさん取れます。ほら!
これちょっとはしか取れてないのでもう大失敗なのですが、花が咲くので取ろうと思えばとんでもない量になります。
さて、そんなロマンあふれる交配なんですけど、種まく機会って少ないですよね。
せっかく採れた種子を残念なことにしたくないと思いますので、もじゃさんの成功したやり方を紹介しますヾ(*´∀`*)ノ
ハオルチアの種まきのやり方
「ハオルチア 種まき」とかで検索して表示される上位の方々とだいぶ違いますが、でもこんなに育ってますよ( ´∀`)bグッ!
ということで、まずざっとフローで紹介します。
- 種子が取れたら低温で乾燥させながら保存する
- 播種の前日から一晩水に浸けておく
- フラスコなどの密閉容器で育てる場合、種子滅菌をする(省略可)
- 新品の水苔と素焼き鉢を用意して苗床をつくる
- タッパーなどの容器に水を張り、鉢を入れる
- 鉢が十分に水を含んだら、種子を乗せていく
- タッパーの蓋を乗せる。蓋は完全に閉めないようにし風が流れるようにしておく
- 暗い部屋で2~3日すると発根するのでニヤニヤする
- さらに2日くらいすると発芽するので少し明るい場所へ移す
という感じです。
では、各作業事に詳しく説明していきましょう。
まずハオルチアがどんなとこの植物かに思いを馳せる
ハオルチアの原産地は南アフリカの東ケープ州に集中しています。
通年で最低気温9度最高気温25度、夏暖かく乾燥気味、冬も比較的温暖で湿潤という人にとっても多肉植物にとっても最高に過ごしやすい気候です。開花時期は日本だと2月~5月くらいなので現地だと8月~12月くらいと推測できます。
で、種子が熟すまで1か月ということは1月くらいに種がこぼれて暑さのピークが過ぎて湿潤な時期に発芽するって感じになると思います。
これをイメージできると播種するときの環境や幼苗の頃の管理の仕方が何が正しくて何が不必要なのかが考えられるようになります。
種まきのポイント それ本当に必要?
種まきに関するいろんな作業がありますが、なんのために行われ、そしてそれは自分が播く種子や環境に必要かを考える必要があります。
採種後の乾燥について
しっかり乾かした方が発芽率やその後の予後が良いです。
種子は休眠していますが生きています。水分をしっかり乾燥させることで種子休眠に関する植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)が作られ貯蔵されることで、発芽を抑制し種子がしっかり熟せるような状態を作り出します。
そして、吸水などの水分刺激によってABAは不活性化し休眠が解かれ発芽にスイッチが入ります。
種子の乾燥はとても大事なステップですので、早く播きたい気持ちは痛いほどわかりますが最低1週間は乾かしましょう。できれば1か月くらい乾かせるといいですね。
播種前の低温処理について
低温処理は種子に冬ですよ、というのを教えるために行われます。
乾燥保存がてら冷蔵庫に入れる。という手法が多いです。
ハオルチアで言えば、原産地の東ケープ州の年間最低気温は4.7度なので大体冷蔵庫の温度くらいになり、種子に冬が来たと教えるにはちょうど良いことになりますね。
一年草の種子は特にこの低温に曝すということが重要で、春に芽吹かないと1年で枯れてしまうからタイミングをぴったり合わせる必要がありますからね。
なので、ハオルチアでも低温処理はやった方がよいでしょう。
しかし、もじゃさんは今回の播種では面倒くさいのでやってません(`・ω・´)
やらなくても何とかなります!
播種前の吸水処理について
低温処理同様、種子に季節を知らせる重要な要因になります。
ハオルチアの場合は冬に湿潤な気候になるので、寒い+水分でスイッチが入るのかと思います。
乾燥時に貯蔵されたABAを不活性化するのに重要なステップですから、やった方がよいでしょう。
しかし、もじゃさんは今回こちらもやってません!めんどい!
カビハイターでの殺菌操作について
学生時代、栄養たっぷりの寒天培地に播種する前にカビや雑菌が入る前に必ず次亜塩素酸ナトリウムで滅菌処理をしました。
その後、汚れや次亜塩素酸ナトリウムなど余計なものを除去するためにエタノールで洗ってから、滅菌水でよくすすぎます。
これくらいしないと、培地での播種は上手くいきません。雑菌やカビが生えてダメになってしまいます。
ハイター入っている次亜塩素酸ナトリウムは強力な酸化剤ですし、界面活性剤も入っていますので細胞にダメージを与える可能性が高いです。
残っていると発芽しても予後が悪かったり育たなかったりするので、密閉された容器で管理しない限りは必要ないと思います。
栄養培地や滅菌した土を使ってフラスコで育てるような場合は滅菌しないとカビだらけ雑菌まみれてとても育たないのでしっかり殺菌・滅菌処理しましょう。
種をまく前の準備
受粉したハオルチアの莢が開いたものから採種した後に、保存と合わせて1週間から1か月乾燥させます。ジップロックみたいなピタッと封できるタイプの袋に保存してしまうと乾かないのでティッシュか何かでくるんでおきました。もじゃさんは。
あとは食品用のシリカゲルと一緒にしておけばピタッと封できる袋でもオッケーです。
苗床を用意する
2号のテラコッタの素焼き鉢に新品のミズゴケを8分目まで詰めます。腰水で管理しますのでダイソーやセリアで売っているタッパーで素焼き鉢の高さ(2号だと約7cm)よりちょっと高い物を用意します。
蓋をかぶせた時に鉢がはみ出ないようなものが良いですが、深すぎると面倒くさいので丁度良いものにしてくださいね。
↑こんな感じ。ちなみに一番手前はシゾバシス・イントリカータ、真ん中は阿寒湖×宝草錦、奥が((バディア×コレクタ)×ゴールドラッシュ)×宝草錦
一般的には肥料分のない清潔な用土を用います。バーミキュライトや小粒の赤玉土など保水性と通気性両立できると良いです。鹿沼土は赤玉土よりも酸性よりですが、南アフリカの土壌も酸性土壌なので使えます。
アフリカの土壌は栄養に乏しい固い土であることが多いので、マグアンプKとか入れている方も多いですが、元肥入れないです。腐葉土も不要です。
やっぱり原産地に思いを馳せるのは重要です。
ただ、日本で育てる、ということも念頭に置いておくのは大事です。
水苔でプラポットを使うと、乾きが悪すぎて鉢の中のミズゴケが傷んでいきますので素焼き鉢でお願いします。スリット鉢もあまり変わりません。
実際に種をまく
というか置く。種子を水を吸った水苔の上に並べていきます。
種子は凸凹していますのでピンセットでつまむと力の加減が難しくどっかに飛んで行ってしまいます。いや、飛んでいきました(´・ω・`)
なので、学生時代1日1000粒の種子をシャーレに撒いたもじゃさんの教えるハイパーな裏技は、爪楊枝を使う、です。先を濡らした爪楊枝の先端で種を触るといい感じにペタっとくっつきます。その状態で水苔に乗せればストレスなく種子を置くことができますよ。まじ楽。
参考動画
種を播いたら蓋をする
発芽からしばらくは湿度90%以上が好ましいとされていますので、高湿度を保てるようにタッパーの蓋を乗せます。
この時少し隙間を開けておきましょう。
きちんと密閉してしまうと空気が淀んでしまいカビが生えたり腐る原因になります。いかなる場合も空気の流れは重要です。
置き場所について
ハオルチアの種子は光がないことでスイッチの入る嫌光性種子のようですので、日当たりの良い場所にはおきません。
もじゃさんは仕事部屋で日当たり超悪いです。蛍光灯付けているくらいなので大体700ルクス以下です。
発芽して葉っぱが見えだしたら少し明るくしてあげましょう。その頃には種子に含まれている養分がほとんどなくなってきているので根と葉っぱでの光合成から栄養を得なければいけません。
このころは照度で言うと3000ルクスくらいで十分です。
もじゃさんはおなじみ植物用LEDライトのLUCHEを使って、タッパー蓋あり+LUCHE→タッパー蓋なし+LUCHEで光量を調節しています。タッパーの蓋は感覚的に20%くらいの遮光率だと思います(照度計を買え)
ルーチェの光がタッパーの蓋でどれだけカットされたかやってみた
その後の植替えについて
今年の実生君はまだ全然植替えのステージに来ていませんので以前のやつを参考に。
播種後6か月の写真です。大体本葉が4枚くらいしっかり生えてきますと、密に播いた苗床だと株同士がぶつかってしまいますので、少し間隔を開けて植え直します。
この時注意しなければいけないのは根の状態です。
腰水は水耕栽培に近い状態ですので根は乾燥に非常に弱い状態です。急に普通の用土で水やりも大人と一緒にするとあっという間に枯れます。
人間でいうたら乳飲み子で初期の離乳食です。
根が土耕の環境に慣れるまで1か月から2か月くらいかかりますので、その間は根に過度の乾燥ストレスが加わらないように、乾いたらすぐ水をやるという感じで徐々に水遣りの間隔を広げていくように慣らしてあげましょう。
このくらいまでで個別の鉢に移して大人とほぼ同じ管理にしました。
肥料のやり方について
先ほどの書きましたが初期には元肥は不要です。そして、根もまだ完全に機能していないので液体肥料を腰水の水に混ぜたりする必要もありません。
使いきれない分が水苔に溜まりカビや雑菌繁殖の元になります。ただ、今回もじゃさんは常にLEDライトで光合成を促してますので、肥料分がないと逆に生育が阻害されてしまいます。
ということで、栄養補給に5000倍希釈くらいに薄めた観葉植物用のハイポネックスともじゃさんオリジナル栄養剤1000倍希釈、HB-101の10000倍希釈液を霧吹きでシュシュっとしています。2日に一回一鉢2プッシュです。
腰水の方には肥料は混ぜません。使いきれない分が素焼き鉢に蓄積したり、水苔に残ったりしてカビの原因になります。せいぜいメネデールとかHB-101みたいな無機の栄養剤をごく薄くですね。
希釈倍率がかなり薄いので結果的にはメネデールと価格があまり変わらないHB-101さん。いいにおいがするので好きです。
腰水の水換えについて
水耕栽培同様の考え方で管理します。
溶存酸素が重要ですので2日~3日1回に水を変えてあげます。何だったら毎日変えても良いレベルです。
梅雨や夏などの暑い時期は雑菌の繁殖力が爆発的に増えますのできれいな水を保つことは苗の生存率を高めるために水のケアはしっかりしてあげましょう。
大体悪さするやつは空気がないところでイキイキする嫌気性細菌ですから、水換えは大事です。
ハオルチアの種まきについてのまとめ
多肉植物の種をまくときは、原産地のことをよく考えて種まきの作業をしましょう。
原産地の気候や土壌の様子などの外的要因、現地でいつ花が咲くのか、種がこぼれて発芽するのはいつごろかなど生活環を意識すると自分が種をまく環境を整えるとき本や情報サイトを見て何が必要でどう工夫したらよいか分かってきます。
ハオルチアは低温処理はまぁいらないとしても吸水処理はあった方が良いですね、現地の発芽時期は雨の多い時期ですから。
一応光が嫌いな嫌光性種子なので、土で植えるときは1cmくらい埋めてあげると良いと思います。
なんだかんだ言って発芽に一番大事な要素は温度です。
10度~30度の範囲であれば発芽可能です。20度前後が一番調子が良いでしょう。
なにせ最短5日で発根して6日目で発芽していますから。
あとは、発芽したてはとても弱いので萎れさせないことも大事ですが、雑菌やカビから守ることが特に重要です。最悪溶けてしまいます。
それには適度な水の量と風通し、鉢の中が酸欠にならないか、肥料分が残ったままになるようなことをしていないか、よく注意しましょう。
実生苗を育てることは夢があって交配の時から本当にワクワクします。
この世に1つしかない株を育てているわけだから(*´▽`*)
この記事で播種したやつらはこちらの記事で観察日記をつけています良かったらご覧ください!
ちょっと難しいことが多いかもしれませんが、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
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