こんにちは、多肉植物のマニアックな情報と言えば、そうです、もじゃさんです。
先日、猫飼っているけどお部屋にアロマティカスを飾って大丈夫か、という質問を受けまして、ちょっと調べてみたら気にされている方は結構いることが分かりました。
アロマティカスは虫よけ、とくにゴキブリ(←テキストにもしたくない、マジ無理)に効果があるとすごく人気になっていますので販売しているところも飾っている人も増えてきました。
なので、アロマティカスが猫にとって有毒なのかを調べてみました。
アロマティカスは猫が食べると危険?
結論から言えば、危険である可能性は高いです。
後述しますが、他の動物に比べネコは生理活性物質の多くに中毒反応を示すことが知られています。
アロマティカスも多く化学物質を含有するため危険であると言わざるを得ないです。
先日のブログでアロマティカスの含有成分を調べたものをベースに調査してみました。
結果は以下の通りです。
p-シメン
香辛料として使用した場合は毒性が低く、エッセンシャルオイルなどの高濃度の精油を摂取した場合は毒性が高くなります。経口摂取でラットLD50値は4750 mg/kg bw(JECFA 1121(2006))。
α-テルピネン、γ-テルピネン
テルピネンでの報告は見つかりませんでしたが、モノテルペンに分類される4つの異なる炭化水素異性体の1つで、リモネン、ピネンなどのモノテルペンに属するものは過剰に反応し毒性が高いとされています。
γ-ベルガモテン
ベルガモテンでは中毒症状の報告は見つかりませんでしたが、上位分類のフロクマリンを大量に摂取で光増感(日焼け、皮膚炎)というデータがありましたので一応気を付けましょう。
オイゲノール
葉全体を大量に摂取すると嘔吐と下痢、閉塞を引き起こす可能性があります。 経口摂取でラットLD50値(1930 mg/kg)(IARC 36(1985))
カリオフィレン no data
β-フェランドレン no data
ウンデカナール no data
β-ミルセン no data
LD50の分かったものはラットですがかなり値は大きいので気にするほどではないかもしれませんが、一応気を付けていたほうが良いと思います。
LD50は半数致死量のことです。 化学物質をラット、モルモットなどの実験動物に投与した場合に、その実験動物の半数が試験期間内に死亡する用量を表します。
また、内閣府 食品安全委員会の食品安全系情報によると,
欧州食品安全機関(EFSA)はEEDAP(動物用飼料に使用する添加物および製剤または物質に関する)パネルで、β-ピネン、α-ピネン、β-カリオフィレン、ミルセン、カンフェン、β-オシメン及びδ-3-カレンは、提案されている最大用量(5mg/kg完全配合飼料)で、全動物種に対して安全であると結論づけた(但し、ミルセン及びβ-オシメンについては、4mg/kg完全配合飼料でネコに使用する場合を除く)。
という情報があるように、ネコだけ注釈が付くくらい化学物質の代謝には敏感です。
報告がないからと言って完全に安全なわけではありませんので注意してください。
腎臓で無害化するのにはかなりの負担がかかっていることが考えられます。
なるべく内臓に負荷のかからない環境にしてあげることが健やかな成長に大事です。
何でネコはハーブとかに弱いの?
非実験動物における化学物質代謝能の特徴と種差(水川葉月 et al. 2017 )の論文からの引用ですが、
ネコではグルクロン酸抱合酵素(UDP-glucuronosyltransferase;UGT ) の中でも異物代謝を担うUTG1A6 遺伝子の偽遺伝子化(遺伝子はあるけど機能しなくなっている)が知られており、フェノール化合物の代謝能が低いと予想される。
PCBs 及びPBDEs の水酸化代謝物が高濃度で残留しており、第II 相抱合反応の弱さから体外に排出できず神経伝達物質や甲状腺ホルモンに影響を及ぼすことも指摘されており、 ネコは水酸化代謝物によるこの種の毒性がとりわけ懸念される。
※PCBs(ポリ塩化ビフェニル):電気機器用絶縁油や感圧紙、塗料、印刷インキの溶剤などに、幅広く利用されました。 PCBは、生体内にたやすく取り込まれしかも残留性が高く、皮膚障害などの慢性毒性が認められます。
※PBDEs(ポリ臭化ジフェニルエーテル):合成樹脂(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ABS等)に添加する難燃剤
ということで、小難しいことを書いてしまったのですが、
ネコは他の動物に比べ体内に取り込んだ不要なものをグルクロン酸などにくっ付けて水に溶けやすくして体外に排出する機能が著しく低いため、
化学物質に対して毒性が現れやすいということのようです。
そのため塩分も排出するのが苦手で腎臓に負荷がかかりやすく、人間の食べ物や他の動物のペットフードなどでは塩分濃度が高すぎるため腎臓病や尿路結石になりやすいと言われています。
こういう事情もあって、猫が中毒を起こす可能性がある危険な植物は700種類以上あると言われています。
とっても多いですね。
植物は病害虫から身を守るために、アルカロイド、ポリフェノール、アルデヒドなどの物質を体内で生成します。
また、エグミなどの原因にもなるシュウ酸カルシウムはハオルチアをはじめ多肉植物ではかなり多くの種類が含有していると考えられます。
尿路結石になりやすい猫には特に注意が必要です。
さらに、アロマ成分を含む虫よけなどでの経皮摂取では危険性が少なくても、ぺろぺろと毛づくろいした際に経口摂取になりますので危険性は高くなります。
中毒症状の報告があったり、危険性はないとされていたり、報告がまちまちなものもありますが、その仔の体調や年齢、どれだけ摂取したかにもよります。
体調に影響が出ない場合もありますが、無毒ではないので気を付けてくださいね。
よくある中毒症状の例としては、嘔吐、下痢、よだれ、食欲不振、黄疸、腹水、血尿、口内炎、皮膚炎、虚脱症状、運動失調、呼吸困難などが挙げられます。
植物飾ってある部屋やお庭、ベランダなどで中毒症状を起こした場合、一刻も早くかかりつけの獣医師に相談しましょう。
その際は、猫が口にした可能性のある葉や花、吐しゃ物や下痢をしたものがあれば、素手で振れないように気を付けて回収し、診療の時に口にしたかも知れないという可能性を伝えてください。
その他猫が中毒症状を起こす危険性のある植物リスト
アロマティカスからは外れますが、ガーデニングをしている人も多いですし、室内で観葉植物や切花、鉢植えをインテリアとして飾る人も多いです。
そして、ネコが植物かじったーというSNSでの投稿も数多く見かけます。
にゃんこさんには本当に健やかに過ごしてほしいと思いますので、出来るだけ危険は少ない方が良いと思います。
ネコが中毒症状を起こす危険性の高い植物名を列記していきます。
一覧になくても危険な植物はたくさんありますので、ネコを飼っている方は植物を飾る前に一度グーグルなどで検索すると良いです。
調べ方は「植物名、ネコ」で大体出てくると思います。
出てこないときは念のため「植物名」で検索をして、その植物の「属」と「科」を調べます。
そして、「属 or 科、ネコ」で検索すると良いでしょう。
下記の植物名で黄色背景で太字のものは特に危険性の高いものです。
結果、半分以上が黄色くなるという大惨事。ちょっと醜いかもしれません。。。
すみません。
アイリス、 アイビー、 アサ、 アサガオ、 アザレア、 アジサイ、 アセビ、 アネモネ、 アボガドの種子、未熟果実、 アマリリス、 アヤメ、 アロエ、 アンズの種子、未熟果実、 アンスリウム、 イエロージャスミン、 イカリソウ、 イチイ、 イチジク、 イチヤクソウ、 イヌサフラン、 イラクサ、 ウマノアシダカ、 ウメの種子、未熟果実、 ウルシ、 エンレイソウ、 オシロイバナ、 オダマキ、 オニドコロ、 オモト、 カラー、 カラジウム、 カラスビシャク、 キエンソウ、 キキョウ、 キク、 キツネノカミソリ、 キツネノボタン、 キバナフジ、 キョウチクトウ、 ギンナン、 キンポウゲ、 クサノオウ、 クリスマスローズ、 クレマチス、 クワズイモ、 ケシ、 ケンマソウ、 コウモリカズラの種子、 コクサギ、 コバイケソウ、 サクラソウ、 ザクロ、 サツキ、 サフラン、 ジキタリス、 シキミ、 シクラメン、 ジャガイモ、 シャクナゲ、 ジャスミン、 シュロソウ、 ショウブ、 ショクヨウダイオウ、 ジンチョウゲ、 スイセン、 スズラン、 ストレリチア、 スパシフィラム、 スモモの種子、未熟果実、 センダン、 ソテツ、 タケニクサ、 多肉植物全般、 タバコ、 チューリップ、 チョウセンアサガオ(エンゼルトランペット)、 ツクバネソウ、 ツタの根、 ツツジ、 ツリフネソウ、 デイジー、 ディフェンバキア、 デルフィニウム、 トウアズキ、 トウゴマ、 トウダイグサ、 ドクウツギ、 ドクゼリ、 トチノキ、 トマト、 ドラセナ、 トリカブト、 ナス、 ニセアカシア、 ニチニチソウ、 ノウルシ、 バイケイソウ、 ハシリドコロ、 ハゼノキ、 ハナヒリノキ、 パンジー(特に種子)、 ハンチョウヅル、 ヒガンバナ、 ヒヤシンス、 ヒヨドリジョウゴ、 フィロデンドロン、 フクジュソウ、 フジ、 フジハカマ、 ベラドンナ、 ポインセチア、 ホウズキの種子、 ホウセンカ、 ボタン、 ポトス、 マーガレット、 マサキ、 マムシグサ、 ミヤマシキミ、 モモの種子、未熟果実、 モンステラ、 ヤナギダテ、 ユズリハ、 ユリ、 ヨウシャヤマゴボウ、 ランタナ、 リンゴの種子、未熟果実、 ルピナス、 ロベリア、 ワラビ
アロマティカスは猫に危険?のまとめ
アロマティカスは名伏しがたき黒き存在に有効と人気を集めるですが、ネコに中毒症状を起こす物質が入っているので、ネコを飼っている方はお家やお庭に飾ったりするときは注意が必要です。
ネコは先天的に有害な物質を対外排出する機能が低いので、アロマティカスに限らずたくさんの植物に中毒症状を起こす可能性があります。
「あ、これいいかもー」と飾りたい植物があったら、一旦落ち着いて猫にとって安全かどうかを確認してから購入しましょうね。
おうちがネコにとって安らげる場所でありますように。
アロマティカスに関するもじゃさんのブログ記事はこちらです。 育て方や飾り方、ウンチクなど盛りだくさんです! アロマティカスの育て方 上手な増やし方と冬越するコツ アロマティカスの成分、レシピや風水など雑学まとめ
参考文献や参考サイト
身近にある毒植物たち “知らなかった”ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み (サイエンス・アイ新書)
非実験動物における化学物質代謝能の特徴と種差 水川葉月, 池中良徳, 筧麻友,中山翔太, 石塚真由美 YAKUGAKU ZASSHI 137(3) 257―263 (2017)
内閣府 食品安全委員会の食品安全系情報
(https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04400780149)
ASPCA 有毒および非有毒植物リスト
(https://www.aspca.org/pet-care/animal-poison-control/toxic-and-non-toxic-plants/b)
独立行政法人製品評価技術基盤機構
コメントを書く