家庭菜園のキャベツやトマトなどの野菜、多肉や観葉植物などガーデニングしていて丹精込めて育てている子たちが憎き害虫たちの食害の被害によってボロボロにされてしまい、悲しい思いをした人はかなり多いはずです。
私も辛酸を何度もなめさせられています。
そこで、殺虫剤などの農薬の登場です!
ブワーッと撒いて一網打尽。と簡単にはいかないです。虫も生き残るために必死ですのであの手こと手で子孫を残してきます。
わたし、自然に配慮する方針で、殺虫剤は半分の濃度でつかっているんです~、とかやっている人がいたら直ちにやめていただきたい。
農薬は正しい使い方をしなければ効果が出ません。
間違った使い方をすると害虫駆除できないばかりか、植物にも致命傷を与えるだけでなく抵抗性害虫や耐性菌を増やしてしまう危険性があります。正しい使い方で効率よく防除できるようになりましょう!
とはいえ、農薬の種類も害虫の種類も多く、どこをどうしたら良いのやらという感じですよね。
この記事を読めば、農薬や害虫の基礎的なことは書いてありますので、虫が出たらなんだかんだで対応できるようになります。あとは、まぁ、経験っすね。ということで行ってみましょう。
農薬の選び方
多肉植物が害虫に食い荒らされている!
よし、やっつけよう!
と思い立ったけど、殺虫剤ってなんか難しいし、農業資材屋さん言ってもたくさんあってよく分からないから知っている人に聞いてみよう!
実際に使っている人から情報収集するのはとても良いことです。
どんどん聞きましょう!
しかしながら、聞いて農薬を買いに行ったら目的のものがない、ということもあります。
例えばカイガラムシなら効果のある農薬はたくさんあります、オルトラン、ベニカ、スプラサイド、マラソンなど。。。
挙げればきりがないのですが、農薬のパッケージには必要な情報がすべて書いてあります。見方が分からないとちんぷんかんぷんですが、知っておけば聞かずとも選ぶことができるようになりますので、ぜひこの機会に知っておきましょう。
農薬のパッケージに書いてあること
表書き
- 農薬名
- 農薬の種類
- 登録番号
- 一般名(化学物質名)
- 有効成分☆RACコードと合わせて重要な情報です。どんな効き方の農薬か分かるキーワードです。
- 有毒性
- 農薬の形状
- 内容量
- RACコード☆どんな効き方の農薬か分かる重要な部分です。
裏書
- 要病害虫と使用方法☆とても重要です。
- →ここに退治したい虫が書いてあるかと使う植物が載っているか確認しましょう
- 効果や薬害などの情報
- 保管方法
- 最終有効年月
- →☆たまにすごく古いのが売っています。買う時に確認しましょう。
- 安全使用上の注意
農薬の種類について 系統とは
農薬は害虫を効率よく駆除するために、死に至らしめるポイントを様々な化学物質を使ってピンポイントで攻撃します。その標的によって系統が分類されています。
作用の種類
農薬の殺虫の仕方には大きく分けて5種類あります。
- 神経伝達を乱すもの
- 皮膚の合成を阻害するもの
- ホルモンバランスを乱すもの
- 呼吸を阻害するもの
- 消化管を破壊するもの
です。
細かく分けると書ききれないのですが、さらにこれらに関係する部位が異なるものがあり作用機構別に分類されており、数多くの型の農薬が販売されています。
例えば、神経伝達を乱すものの種類では、蚊取り線香などで有名な防虫菊の成分のピレスロイド系は神経伝達物質のアセチルコリンを過剰に分泌させて異常な興奮状態にし死に至らしめます。
防虫菊
それとは反対に、ニコチンの仲間になるネオニコチノイド系はアセチルコリンの受容体に結合し情報伝達を阻害しマヒを起こさせ死に至らしめる効果があります。
色々ありますが、作用機構で効きにくい虫、効きやすい虫がありますので農協とかで相談してみるのも一つの手です。
植物に対して浸透性(浸透移行性のあるもの)、経口摂取で効果のあるもの、接触するだけで効果のあるものなど作用機構以外にも種類があります。害虫や病原菌の種類に合わせて使用しましょう。
浸透移行性について
アブラムシやカイガラムシなどの汁害やヨトウやナメクジなどの食害から植物を守り、害虫を駆除するために農薬が植物内にしみわたり食べたり汁を吸ったりしても殺すことができる性能を持った農薬があります。
有機リン系ではオルトランが浸透性の高い農薬として有名ですが、ネオニコチノイド系の農薬は全てこの作用があります。
どうしても散布だとムラができてしまって、虫に逃げ場を与えてしまいますが、浸透性のある農薬なら多少ムラにかけても効果が期待できますし、伸びてきた新芽にも殺虫剤の効果がありますので持続効果もかなり長いです。
あまり言及されることがないのですが、植物に悪影響がないかっていうと微妙なところで、有毒な物質を無毒化するのに有機酸などを使って有毒物質をキレート錯体という檻の中に閉じ込めて液胞内に廃棄するので、余計なエネルギーや資源を使うことになり生育が多少悪くなると感じています。
これは経験則なのですが、なるべく少ない量、少ない回数にしたいので、農薬の用法用量をきっちり守って、ムラなく漏れなく散布してしっかりやっつけることが大事ですね!
農薬の形状
細かく分類するとかなりあるので、ざっくりと分けると
- 粒状
- 水和剤
- 乳剤
- 液剤
の4種類あります。
粒状
多肉植物を育てている日にはなじみ深いと思います。代表的なものがオルトランDX粒状。粒の大きいものは土に撒いて根から吸収させます。粒の細かい粉状のものは接触摂取で効果を発揮します。撒きムラが出やすいのが難点。
水和剤
殺虫、殺菌成分を界面活性剤と混ぜて水と混ざる粉にしたもの。溶けるじゃなくて混ざるがポイントです。小麦粉をイメージするとわかりやすいと思います。
成分がコロイド上になるためさっさと撒かないとタンクに沈殿して成分にむらができます。あと、混ぜるときに一気に粉を入れるとダマになって混ぜづらいです。
小さなバケツでダマにならないようにちょっとずつ混ぜながら溶かします。
美味しいお好み焼きを作るような気持ちで混ぜてください。
乳剤
有機溶剤に殺虫成分を混ぜたものです。水和剤のようにダマになる心配も成分が沈殿する心配もないですが、有機溶剤で葉っぱや花にシミや枯れが出る薬害が出る可能性が水和剤に比べて高いです。
液剤
もじゃさんはあまり使ったことありませんが、有機溶剤を使わず水溶性の農薬なので薬害が出にくく使いやすいです。
アブラムシ用のオレート液剤なんかがそうです。ただ、オレートは有効成分の作用機構がIRACとは別のHRACに分類されていて、食品添加物のようですが除草剤のくくりになっているので植物への生育阻害が心配です。
系統の種類
現在IRACコードの表示義務がないので、古いラベルのものにはついていないこともありますので、農薬を買う時には事前にある程度調べなければなりません。
IRACコードが書いていない場合は、有効成分をグーグルかなんかで検索すれば、一覧を記した表がすぐに出てくると思います。
IRACコードは29系統、サブグループに分けると62系統もあります。
あとよく分からないけど効くとかいう雑い系統もあります。
上から順番に作用機構が分かれているわけではないので、全部覚えるのは至難の業です。駆除したい虫に対して農薬をリストアップし系統を調べてローテーションで使うものを3つ選ぶという感じでよいでしょう。
神経および筋肉に作用するもの
- 1A:ガーバメート系、1B:有機リン系
- 2A:環状ジエン有機塩素系、2B:フェニルピラゾール系
- 3A:ピレスロイド系、3B:DDT
- 4A:ネオチコチノイド系、4B:ニコチン、4C:スルホキシイミン系、4D:ブテノライド系、4E:メソイオン系
- 5:スピノシン系
- 6:アベルメクチン系・ミルベマイシン系
- 9B:ピリジン アゾメチン誘導体、9D:ピロペン系
- 14:ネライストキシン類縁体
- 19:アミトラズ
- 22A:オキサジアジン系
- 22B:セミカルバゾン系
- 28:ジアミド系
- 29:フロニカミド
- 30:メタジアミド系・イソオキサゾリン系
- 32:GS-オメガ/カッパHXTX- Hv1aペプチド
生育および発達、ホルモンバランスに作用するもの
- 7A:幼若ホルモン類縁体、7B;フェノキシカルブ、7C:ピリプロキシフェン
- 10A:クロフェンテジン・ジフロビダジン・ヘキシチアゾクス、10B:エトキサゾール
- 17:シロマジン
- 18:ジアシル-ヒドラジン系
- 23:テトロン酸およびテトラミン酸誘導体
皮膚合成に作用するもの
- 15:ベンゾイル尿素系
- 16:ブプロフェジン
※IRACの分類では生育および発達に分類されているけど、作用する部分が明らかに違うので別項にしています。
呼吸、エネルギー代謝に作用するもの
- 12A:ジアフェンチウロン、12B:有機スズ系殺ダニ剤、12C:プロパルギット、12D:テトラジホン
- 13:ピロール系・ジニトロフェノール系・スルフルラミド
- 20A:ヒドラメチルノン、20B:アセキノシル、20C:フルアクリピリム、20D:ビフェナゼート
- 21A:METI剤、21B:ロテノン
- 24A:ホスフィン系、24B:シアニド類
- 25A:β-ケトニトリル誘導体、25B:カルボキサニリド系
中腸、消化器系に作用するもの
- 11A:Bacillus thuringiensisと生産殺虫タンパク質、11B:Bacillus sphaericus
- 31:顆粒病ウイルス(GVs)・核多角体病ウイルス(NPVs)
その他の非特異的(マルチサイト)阻害剤
8A:ハロゲン化アルキル系、8B:クロルピクリン、8C:フルオライド系、8D:ホウ酸塩、8E:吐酒石、8F:メチルイソチオシアネートジェネレーター
作用機構が不明でなんかよう分からんけど効く
UN*、UNB*、UNE*、UNF*、UNM*(珪藻土)
余談:珪藻土って殺虫効果あるの!?
あるんです。粉末状の珪藻土が外皮に付着すると脱水させて死に至らしめるようです。
対象害虫はゴキブリ、アリ、ナメクジ、ノミ、トコジラミ、ワクモなど。吸い込むと人体にも悪影響があるので高性能なマスク必須ですね。
同じ殺虫剤を使い続けてはダメ!
というのは多少誤解をもって広がっている可能性があります。
同一世代で同一の作用機構の農薬の連用はまぁ大丈夫なのですが、世代をまたいでの同一作用機構の連用が抵抗性獲得のリスクを高めるというのが正しい理解です。
だから、農薬の分類を覚えるのに合わせて対象害虫の生活環を覚えなければいけません。1世代がどれくらいの期間かを知る必要があります。
下に例で、ハダニが1世代どれくらいかというのを書きましたが、要するに10日で1世代増えるのでそれに合わせて薬剤散布などをする必要があるということです。
また、10日以内に薬散する場合は同じ農薬でも大丈夫ということになります。
ハダニの生活史とおすすめの農薬
ちなみに、ダニは殺虫剤は使わないですよ。殺ダニ剤です。
昆虫は足が6本、ダニは8本なので蜘蛛の仲間に属され体のつくりが違います。
ダニもいと吐きますしね。
卵期間2~3日、幼虫~若虫期間6~7日、脱皮を三回行い10日くらいで成虫になります。
成虫になると1日100個ほど産卵し気温が高ければ年中産卵可能、さらに活動範囲が狭いため近親交配でもバカスカ産卵するので爆発的に増えやすい害虫です。
先ほどのIRACコードをいちいち見ながら農薬探すのが面倒くさいと思いますので、ダニ剤で比較的入手が容易で系統の違うものをピックアップしましたので参考にしてください。
左から順に
- オルトラン粒状、水和剤…1B:アセフェート、4A:クロチアニジン
- 粘着くん液剤…物理攻撃※気門封鎖による致死。抵抗性は発達しにくいが、残効はなく、薬液が十分に付着しないと効果は低い。5~7日間隔で数回散布。
- カスケード乳剤…15:フルフェノクスロン
- ニッソラン水和剤…10A:ヘキシチアゾクス
- ペンタック…2A:ジエノクロル
- ジマンダイセン水和剤…UN*:マンゼブ(マルチサイト)
- ダニカット乳剤…19: アミトラズ
コナカイガラムシの生活史とおすすめの農薬
多肉植物でよく見かける白いコナコナふさふさのやつは雌です。
オスは翅がありどこからともなくやってきます。
生活環が少し複雑なので雌にポイントを当ててざっくり説明します。
3回脱皮し成虫になるとワックス質で覆われ農薬がほとんど効かなくなります。
越冬したものが5月頃から産卵を始め卵は10日~15日で孵化します。
発生のピークは6月中旬、7月下旬から8月下旬、9月下旬と年3回大発生します。
一番駆除しやすいのは6月の第一世代と呼ばれている奴らです。
多肉に大発生すると生長点がやられて、やがて枯死します(´・ω・`)
コナカイガラムシはスス病も媒介しますので厄介です。
大量発生する前に駆除しましょう。まじで困ります。
色んなサイトで「オルトラン」「スミチオン」「マラソン」「アクテリック」「トクチオン」などをお勧めしていますが、これ、全部1Bの有機リン系ですので注意してください。
これらを買い集めてローテーションすると抵抗性害虫がバンバン出てきます。
この中ではオルトランは効力は少し弱めですが使い勝手が良いです、バシッと聞かすならアクテリックです。
というわけで、系統の違う農薬をリストアップしますので参考にしてください。
コルトは安価で効果も強いのでおすすめです。
あと、有名なベニカは4Aのクロチアニジンですのでダントツと同じです。
左から
- ダントツ水和剤…4A:クロチアニジン
- モスピラン…4A:アセタミプリド
- コルト水和剤…9B:ピリフルキナゾン
- アプロード水和剤(幼虫期のみ有効)…16:ブプロフェジン
- マシン油乳剤…物理攻撃
まぁ無難なところ、オルトラン、ベニカ、マシン油を持っておけば大丈夫ってことですね。
ベニカスプレー
農薬を混ぜて使うのはあり?
農林水産省や農業の指導機関では推奨しておらず、やるなら自己責任でお願いします、というスタンスです。
生産者規模になると何回も薬散なんて負荷の高い作業をやっていられませんので、色々混ぜて防除に当たることがありますし、メーカーからは混用事例が公開されているものもあります。
スミチオン乳剤とその他の殺ダニ剤を混ぜたところ効果が上がったという例もありますので、ガーデニングレベルではあまり使うことはないと思いますが知っておいて損はないと思います。
また、見出しの通り混ぜてはいけない組み合わせもあります。
殺菌剤として有名なボルドーはアルカリ性で酸性の石灰硫黄合剤、有機リン剤、マシン油乳剤等を混用すると薬効を減じ、また薬害を起こす原因となるので混用しないでください。 と注意書きがされています。
他にも浸透移行性の高い農薬は他の農薬や展着剤などと混用しても薬害がかなりの確率で出るようになると言いう事例もありますので混用をする時には、小さな区画で試してみてから実際に防除に用いると良いでしょう。
展着剤などとの農薬の正しい混ぜ方
作物をものすごい広さでとんでもない量を作る生産者クラスの規模になると農薬は混ぜて使うことが多いことは先ほど書きましたが、農薬の効果を引き上げるためにもいろいろ混ぜたりして使うのは有効な手段です。
例えば、農薬を広くムラなく植物にかけて害虫被害と農薬の使用量を減らす展着剤なんかはグッドです。
ただ混ぜる順番があります、間違えるとダマになったり効果を100%引き出せなくなることがあります。
水に溶けやすいものから混ぜていく、ということが大事です。
なので順番は、展着剤→液剤→乳剤→水溶剤→ドライフロアブル→フロアブル→水和剤、です。
展着剤や乳剤に含まれている界面活性剤は水の表面張力を少なくする働きもありますし、疎水性(水に溶けにくく、油や有機溶媒系に溶けやすい性質)と親水性のものを混ざりやすくしてくれます。この混ざりやすくするのは乳化と言ってマヨネーズみたいなもんです。
覚え方は頭文字を取って「テエニスドフス」とか、雑誌には書いてありますけど、覚えにくいよ。これ。
後、注意しなければいけないのは展着剤でも泡立ちの良いものは先に混ぜてしまうと、そのあとに入れるものが混ざりにくくなってしまうので、最後に入れるようにします。
例:アビオンE、まくぴか、ペタンVなど。
農薬を使用するときの注意点
害虫たちに致死効果があり、ほ乳類などには大丈夫、と言われていますが、無毒でも無害でもないので注意しましょう。
散布中の液体が皮膚や粘膜に付いたり、粉を吸い込んだりすると気分が悪くなったり、頭が痛くなったり、吐き気を催す場合もありますし、内臓への負担がかかる場合もあります。
特に誤って大量に飲み込んでしまった場合、吐き出させるなどした後に、直ちに医療機関で適切な処置を受けなければなりません。重篤な中毒症状を引き起こし命に関わる場合があります。
なので、農薬を取り扱う時はゴーグル、マスク、合羽、ゴム手袋は必須です。特に劇物の場合は、フィルター付きのマスクが必要になる場合もあります。
こんな格好↓
これはもじゃさんが胡蝶蘭の切花生産法人で勤めていた時の薬散の時の格好です。フィルター付きのガスマスク、撥水性の高いジャンパー、長靴、作業用ズボン、ゴム手袋。
夏場は死ぬほど熱いですが、身を守るために必ず着用していました。
農薬の使い方 散布のやり方
何じゃかんじゃ書いてきましたが、植物への農薬の散布の掛け方が大事です。
上手くかけられなければ十分に効果を発揮できませんから。
んで、特に多肉植物を扱っている人は、知っておいてほしいのが薬をかけた後が水滴になっているようでは全然だめです。
洗剤を使ってピッカピカに洗い上げたガラス食器に水を流した時のように水の膜が張るような感じでないといけません。
しかし、多肉はつるつるで厚いクチクラ層をもち、中には白い粉(鱗片)を持つ者もいますので葉の表面の水をはじきまくります。これが農薬を効きづらくし、薬害を起こしやすくする原因です。
↓朧月のこんなやつ。
葉っぱに農薬がかかっても水の玉ができてしまい転げ落ちるか葉脇に水滴のまま留まるかで広がってくれません。
こんな時に必要なのが、水の表面張力を弱くしてしっかり葉っぱに馴染むようにしてくれる展着剤です。大概の農薬には界面活性剤が入っているのはそのためです。
霧吹きや噴霧器を使って満遍なくかけたつもりでも水滴になってしまうようだったら、展着剤を混ぜてみましょう。農薬と混用可能な物が数多く販売しています。
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で、肝心な掛け方なんですが、文字で説明するの凄く大変なので今度動画にして説明しますね。
とにかく、多肉植物は虫の隠れるところがたくさんあります。葉っぱが密に詰まっていることが多いので。
秋麗だと黄緑色の丸が付いた辺りによくカイガラムシがいます。あと、ついでに黄緑の矢印の葉っぱの下とかにも良くいますので枯れ葉を見つけたらすぐに除去しましょう。
こういうところを意識しながら農薬散布を行っていくのですが、一方向からだけでは葉っぱの裏側や重なっているところに薬剤がかかりません。これでは虫をしっかりやっつけられないのです。
この黄色の丸のところは農薬をかけた時に掛からない場所です。これではかけた意味がなく時間の浪費ですので、かけるときは色んな方向から満遍なく漏れなくかけるということが大事です。
こういった植物にかける場合、特に薬剤が行きわたりにくいところは成長点のところの葉っぱが密になっているところです。水滴になってしまい、隙間に入っていけないことが多いです。
そうするとレンズ現象で葉焼けすることもありますし、水滴が乾いたときに薬品が高濃度になってしまい薬害が出てしまうこともあります。
それを防ぐためにも、散布し終わったら液体の様子をしっかり確認しましょう。かかっていないところはないか、水滴として残っていないか、特に株元は虫の住処になりやすいので葉っぱを持ち上げて薬をかけましょう。
あとは、日差しの強い時間帯は避けて行いましょう。高温で蒸れることもありますし、温度が高いと薬害が起こりやすいようです。
早朝か、午後3時以降とかが良いですね。ヨトウムシを駆除する場合はむしろ日が落ちてからでないといけません。虫の様子や病気の症状、天候に合わせての散布計画も大事ですね。
農薬散布をする時のコツ
お家で植物を楽しみたいという人は多分10鉢から20鉢くらいなので、農薬散布もそんなに手間ではないかと思いますが、100鉢から1000鉢とかの多肉植物沼や1反規模で野菜を作っている家庭菜園沼にはまっている人は結構な重労働になると思います。
そこまでやっている人には、すでに知っているかもしれませんが、農薬散布するときにムラがないように上から下までしっかり撒いているつもりでもムラになることってあるんです。
それを防ぐために、もじゃさんは薬散する時は向きを変えて往復します。
動噴や手押しの散布器、霧吹きでも共通しているので参考になれば幸いです。
私、右利きなので1回目は右から左へ動きます。ベンチと言われる大きいテーブルみたいな苗床で管理しているのでばさーっとかけていきます。ミニ温室みたいな棚の場合も霧吹きで右から左へかけていくんじゃないかなーと思います。
1回目
丸いやつも鉢だと思ってみてください。
右から左に動くのでどうしても左側にかけムラができてしまいます。青いところが薬がかかっている部分のイメージです。
なので、今度は逆向きに動いて散布していきます。
2回目
そうすると株の左側からも、薬がかかってほぼムラがなくなります。赤い部分がかかったことで鉢全体に薬がかかります。
あと、植木鉢やトレーの裏側にも隠れているので大量発生しているときは、物陰にも気を付けてください。きっといます。
1回の薬散では絶対に完全駆除できないのですが、それでもきっちり1つの世代を駆除するためにはかけムラがあっては駆除しそこなう個体が出てきてしまいますので、極力そういうのをなくして計画通りの散布回数で完全駆除できるようにバシッと効かせましょう!
残った農薬の処理の仕方
農薬は残しません。一度使ったらすべて使いきるのが原則です。
農薬を用水路や河川などに廃棄することは水の生態系に悪影響を及ぼすため禁止されています。
一応農薬は土の上に廃棄してしまえば自然に分解されるので、絶対に農業用に使わない土地で地下水などに染み込まない土壌なら廃棄することができます。
容器に残ったもの、容器を洗ったときのすすいだ水は下水に流れないように十分注意して上記のような土壌に廃棄します。
本来なら、廃棄物処理業者や市町村が定める方法に従い業者を利用するなどして処分します。
空の容器も良く洗浄し廃棄物処理業者にお願いすることになります。処理す利するまでは専用のごみ箱に入れ、管理しましょう。
農薬の保管方法
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農薬の誤飲・誤食による中毒事故や悪用を防止するため、保管管理するときは施錠できる場所であることが指導されています。
また、農薬にはスプラサイドのような劇薬指定のものがありますので、その場合は専用の鍵のかかる丈夫な場所に保管し、「医薬用外毒物」、「医薬用外劇物」などと表示する必要があります。
さらに、農薬の品名と数量などを記録し、少なくとも毎月1回は保管管理の状況を点検することと厳しく指導されています。
パラコート(除草剤)混入事件やアクリフーズ農薬混入事件など凄惨な事件にも用いられる毒物であることを意識して取り扱いましょう。
農薬に頼らない病害虫の対策
農薬は害虫をやっつけてくれる頼もしいやつでもありますが、少なからず植物や土壌にダメージを与えます。できることなら使いたくないので、日ごろから害虫が出ないような環境づくりをしておくことが重要です。
害虫がそもそもなんで増えるかということにも触れた害虫対策の基本的な考え方などをまとめた記事もありますので良かったらご覧ください。
火の燃えたような匂いの木酢液は虫が嫌がり、有機酸は植物体に含まれる窒素の代謝を促すため強健にしてくれます。土壌の改良効果もあり病原菌が繁殖しにくい環境作りが可能です。
あと、過剰な施肥は虫を呼びます。窒素の臭いが大好きなのです。
土の中に余った肥料を雑菌たちが餌にしてアンモニアや腐敗性のガスを出すことでさらに虫が寄ってきたりしますので、肥料は適量を与えないといけません。
また、窒素過多は徒長を促し細胞壁を弱くし病害虫への抵抗力を弱めますので良いことなしです。
まじ気を付けて。
あげるときりがないのですが、とにかくガーデニングスペースは清潔に、整理整頓ができていることが大事です。
虫の住処や逃げ場所を作らずに、忌避剤などで追い出すような感じにすると植物たちも過ごしやすいかと思います。
まとめ
かなり長々と書いてしまって、ここまでたどり着いた方は勇者か何かかと思います。ご覧いただきありがとうございます。
農薬はとっつきづらいところがありますが、基本的に必要な情報は全てパッケージに書いてあります。それを読み解く方法と正しい使い方があれば怖いものなしです。
あとは、農薬は毒劇物にも指定されているものがありますので、法令が定めた保管方法や使用方法を守ってください。植物だけでなく、あなたやあなたの身の回りの人を守るために重要なことです。
正しい知識を持って取り扱えば大丈夫ですので、愛しの植物たちを守ってあげてください。
何か分からないことがあればもじゃさんに質問してくださいませ、小難しいこと言うと思いますがしっかり対応いたします。
それでは、あなたの多肉ライフが佳きものになりますように!
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