どうも多肉大好きもじゃさんです。
春の暖かくなってきたころから、植物たちは活発に動き出し、そして、虫たちも活発に動き出します。
室内だろうが屋外だろうが、ビニールハウスだろうが露地だろうがアイツはどこからともなくやってきて葉っぱを傷だらけにして弱らせる憎いやつ。
そうです、ハダニです。
多肉植物の害虫被害でもかなり多い部類に入るハダニの吸害。
どんな薬を使えばいいのとか、日ごろからどういう管理していれば発生が抑えられるのとかのお悩みにこたえられるようにハダニの生態から弱点や効果のある農薬を紹介していきます。
まずはハダニのことから知っていきましょう!
ハダニとは? 多肉を傷つける憎いやつ
(Gilles San Martin from Namur, Belgium, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, ウィキメディア・コモンズ経由で:ナミハダニ)
昆虫は足が6本、ダニは8本なので蜘蛛の仲間に属され体のつくりが違います。
ダニも糸吐きますしね。
糸を自在に操ることから英名では「Spider mite」といわれています。
まぁ、昆虫ではなく鋏角亜門で蜘蛛の仲間なんですが。
だから農薬は殺虫剤ではなく殺ダニ剤と表記されます。
基本的な生態は以下の通りです。
卵期間2~3日、幼虫~若虫期間6~7日、脱皮を3回行い10日くらいで成虫になります。
成虫になると1日100個ほど産卵し気温が高ければ年中産卵可能、さらに活動範囲が狭いため近親交配でもバカスカ産卵するので爆発的に増えやすい害虫です。
さらにミカンハダニという種類は休眠しないので、気温が高ければ一年中増殖する可能性があります。
一般的に活動時期は暖かくなる3月から10月といわれています。地方によって気候が異なりますので、お住いの地域の気温や天気などから発生時期を調節してみてください。
またはお近くの農協や農業普及所などで問い合わせてもよいと思います。地元のことは地元の人が良く知っています。
吐糸管から糸を出し蜘蛛の巣よりも細い糸で巣を張ります。
見慣れない蜘蛛の巣があったら葉の裏を確認しましょう。
これは移動手段にもなるだけでなく、天敵や雨風から身を守り、さらに農薬もかかりにくくなるという恐ろしい糸なのです。
生息場所はどこにでもいると思った方が良いです。
乾燥して雨の当たらないところにいます。そして軽いからだと必殺の糸で風に乗りどこへでも飛んでいきます。そう、室内でも。
日本で果樹や野菜、花き、観葉植物など広い品目で被害を出しているナミハダニ属で代表的な種類は以下の四種類です。
ナミハダニ、カンザワハダニ、リンゴハダニ、ミカンハダニ。
多肉をやっていてよく見るのはナミハダニかカンザワハダニ。
見分け方はナミハダニは白と黒(濃茶)のツートンカラーでナミハダニは全体がオレンジ色です。
ミカンハダニは主に柑橘系の樹木につくのであまり気にしなくてもよいですが、ナミハダニより赤くてつんつんした大きめ棘が背中にあります。
これは胡蝶蘭を生産していた時にナミハダニが出た写真です。
通常はまっすぐ伸びる花芽の先端がいじけて曲がってしまっています。
周りには蜘蛛の巣よりも細い糸がついているのが見れます。
近づいてよーーく見てみると
ぎゃーーー
きもいです。
この後しっかり薬剤散布しました。
ということで次は見つけた時の対策と、見つけないようにするための日々の管理です。
ハダニ駆除の対策と日頃の防除
対処法としては発生初期はブラシや布なので虫がついている部分をふき取り、
良く水で洗い流します。ハダニは水に弱いのでしばらくは乾燥しすぎないように気を付けます。
大量に発生してしまった場合は、既定の濃度の農薬を霧吹きなどに入れて植物全体に、特に葉っぱの裏や葉柄の付け根などは念入りに散布します。
また、既定の濃度よりも10倍薄い溶液を作り土全体がしっかり湿るように注ぐ潅注処理をするとより効果的です。
デメリットとしては、薬剤の影響で根が傷むことです。
しかしながら、趣味で生産している人でも鉢数が多くなっている場合で、被害が長期間続くようだったら潅注した方が良いと思います。
薬剤散布の1か月くらいは予後を続けて観察し、10日に1度農薬散布をするとよいです。
ハダニの1世代が10日なので孵化に合わせて行うと効果的です。
この時、続けて同じ農薬を使うと耐性を持つ個体が出やすくなるので、必ず作用機構の異なる数種類の農薬をローテーションで使いましょう。
1週間に一度発生しているものを見つけたらブラシや布なので取り除き、100倍希釈くらいの木酢液を散布すると発生が抑えられます。
少なくとも1か月くらいは様子を見て対策を続けましょう。
また、日ごろから保水も兼ねて霧吹きで葉水をしているのも発生抑制に効果的です。
多肉に使えるハダニに効く農薬一覧
JAや種苗店などの専門店ではいろんな種類の農薬が手に入るのですが、使いやすく安価なものはスーパーやホームセンターの園芸コーナーでも買えますし、なんだったら楽天とかAmazonみたいな通販サイトでも購入できます。
でも農薬、ちゃんと使わないといろいろ危険です。
農薬取締法によって、適用作物と適用害虫、希釈濃度などが定められていて無登録農薬や使用禁止農薬を使用したり、農薬使用基準に違反して農薬を使用すると罰則対象になってしまいます。
あと、作物に思いもしない悪影響があったりします。(葉やけ、シミなどの薬害とか)
農薬のラベルには必ずこれらの情報が表記されていますので、購入前には必ず確認しましょう。
多肉植物は観葉植物に分類されます。
2023年4月現在で適用作物に観葉植物があり、適用病害虫にハダニ類があるものは以下の通りです。
カネマイトフロアブル
RACコード 20B
有効成分 アセキノシル・・・・15.0%
毒性 普通物
取扱メーカー アグロカネショウ
特徴
様々なハダニ類に効果が高く、他の農薬に抵抗性がついたハダニ類にもよく効きます。
卵から成虫まで各ステージに効き、特に成幼虫に速効性を示します。
温度による効果差が少ないので、時期を問わず使用できます。
有用昆虫や天敵類に影響が少ない薬剤なので安心して使えます。
コテツフロアブル
RACコード 13
有効成分 クロルフェナピル・・・・・・10.0%
毒性 劇物※
取扱メーカー BASFジャパン、日本曹達、クミアイ化学、協友アグリ
特徴
100以上の作物と幅広い害虫に使用できます。
他の農薬の作用機構とは大きく違う作用性があり、殺虫剤として唯一のピロール系呼吸系阻害剤です。
劇物なので取扱注意。
山東農薬オンラインなどの農薬専門店のwebサイトで購入できます。会員登録が必要です。
ダニオーテフロアブル
RACコード 33
有効成分 アシノナピル・・・・・・20.0%
毒性 普通物
取扱メーカー 日本曹達
特徴
気温による効果変動が小さく、卵から成虫まで各ステージによく効きます。
天敵・有用昆虫に影響が少なく、IPM(総合的病害虫・雑草管理)での活用に適しています。
ダニコングフロアブル
RACコード 25B
有効成分 ピフルブミド・・・・・・20.0%
毒性 普通物
取扱メーカー 日本曹達
特徴
・これまでにない作用性を持ち、抵抗性個体群に対しても有効な殺ダニ剤です。
・効ハダニに対して長期間安定した効果を示します。
・天敵・有用昆虫に対する影響が少なく、訪花性昆虫や生物資材との併用にも適しています。
ダニサラバフロアブル
RACコード 25A
有効成分 シフルメトフェン・・・・・・20.0%
毒性 普通物
取扱メーカー OATアグリオ、協友アグリ
特徴
抵抗性のあるハダニにもよく効く新規の作用機構を持っていて、優れた残効性があります。
ナミハダニ、カンザワハダニ等のTetranychus属、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のPanonychus属の両属に有効で、全ての発育ステージ(卵、幼虫、若虫、成虫)に対して活性を有し、特に若幼虫に対して優れた効果を示します。
ハダニの天敵であるカブリダニやその他の天敵、有用生物であるミツバチ、マメコバチ等に対して影響が小さくIPM(総合的病害虫管理)に適しています。
ダニトロンフロアブル
RACコード 21A
有効成分 フェンピロキシメート・・・・・・・5.0%
毒性 普通物
取扱メーカー 日本農薬
特徴
各種のダニ類に高い効果を示し、特に幼・若虫と成虫に対して強い殺ダニ効果を示します。また、卵に処理した場合には孵化後の幼虫をよく抑えます。
低い濃度では速効性はみられなくなるものの、幼・若齢虫が脱皮時(静止期)に死亡する作用がみられます。
ミツバチ、マメコバチに影響が少ないです。
ダブルフェースフロアブル
RACコード 21A、25B
有効成分
ピフルブミド・・・・・・・・・15.0%
フェンピロキシメート・・・・・5.0%
毒性 普通物
取扱メーカー 日本農薬、クミアイ化学
特徴
新規有効成分ピフルブミドにより、既存抵抗性個体群に対しても有効な殺ダニ剤です。
有効成分フェンピロキシメートによりミカンサビダニやチャノホコリダニにも優れた効果を示します。
作用機序の異なる2つの有効成分が駆除性能を格段に上げています。
ミツバチやマルハナバチに対する影響が少なく、訪花昆虫との併用も可能です。
トクチオン乳剤
RACコード 1B
有効成分 プロチオホス・・・・・・45.0%
毒性 普通物
取扱メーカー アリスタライフサイエンス、ホクサン
特徴
野菜、果樹、茶、花き類・観葉植物などに発生する多くのチョウ目害虫(ハマキムシ類、コナガ、ヨトウムシなど)、ハダニ類、アブラムシ類、コナカイガラムシ類、アザミウマ類に優れた効果を示します。
接触毒と食毒の作用を持ち、効果の発現はやや遅効的ですが、長期間効果が持続します。
ニッソラン水和剤
RACコード 10A
有効成分 ヘキシチアゾクス ・・・・・10.0%
毒性 普通物
取扱メーカー 日本曹達
特徴
各種ハダニ類に対し低濃度で優れた効果があります、残効性に優れていて長期間にわたって発生を抑えます
他剤に抵抗性となったハダニにも、安定した効果があります。
薬害が少なく、石灰硫黄合剤、ボルドー液との混用が可能です。
有用昆虫・天敵類に悪影響がありません。
バロックフロアブル
RACコード 10B
有効成分 エトキサゾール・・・・・・10.0%
毒性 普通物
取扱メーカー 協友アグリ
特徴
各種ハダニ類に優れた殺卵・殺幼若虫 作用を長期間発揮し、ハダニの増殖を1ケ月以上抑えます。
天敵、ミツバチ、マメコバチにたいする影響はありません。
ピラニカEW
RACコード IRAC→21A、FRAC→なし
有効成分テブフェンピラド・・・・・・10.0%
毒性 劇物
取扱メーカー クミアイ化学、日本曹達
特徴
種ハダニに対して優れた効果を発揮し葉表から葉裏への浸達性を有するので、防除効果が安定しています。
ハダニの卵・幼虫・若虫・成虫の全てのステージに高い効果と即効性を示します。
気温の影響を受けることなく、いつでも安定した効果を発揮します。
劇物なので取扱注意。
山東農薬オンラインなどの農薬専門店のwebサイトで購入できます。会員登録が必要です。
ベニカXファインスプレー
RACコード IRAC→3A、4A FRAC→9
有効成分
クロチアニジン・・・・・・0.0080%
フェンプロパトリン・・・・・・0.010%
メパニピリム・・・・・・0.020%
毒性 普通物
取扱メーカー 住友化学
特徴
1か月間病害虫の発生を抑える持続力と幅広い適用作物・病害虫で家庭園芸での病害虫対策をこれ一本でカバーできます。
浸透移行性も高く、植物全体を食害・吸害から守ります。
ペンタック水和剤
RACコード 2A
有効成分 ジエノクロル・・・・・・・ 50.0%
毒性 普通物
取扱メーカー アグロカネショウ
特徴
従来の薬剤とは作用性が異なっているので、他剤に抵抗性のついたハダニにも有効です。
ハダニの成幼虫に遅効的ながら効果が高く、長期間発生を抑えます。
ポリオキシンAL水溶剤
RACコード IRAC→なし、FRAC→19
有効成分 ポリオキシン複合体・・・・・・・50.0%
(ポリオキシンBとして500,000AmBu/g)
毒性 普通物
取扱メーカー 科研製薬、クミアイ化学、住友化学、日本農薬
特徴
作物が汚れず、浸透移行性にも優れ、高い効果を示します。また、花卉類に幅広い登録があります。
花卉、蔬菜類のうどんこ病、灰色かび病およびハダニ類等に有効で、予防効果と治療効果があります.
独自の作用性(キチン合成阻害)を有し、ローテーションに加えることで耐性菌の出現回避や効果の安定が期待できます。
天然物由来で環境に対する安全性が高く、作物に対する薬害の心配もありません。
マラソン乳剤
RACコード IRAC→なし、FRAC→19
有効成分 マラソン・・・50.0%
毒性 普通物
取扱メーカー 日本農薬
特徴
稲・果樹・野菜の広範囲の害虫に高い効果があり、即効性が高いです。
ロディー乳剤
RACコード 3A
有効成分 フェンプロパトリン・・・・・・10.0%
毒性 劇物
取扱メーカー 住友化学、北興化学
特徴
広範囲の害虫に効果のある合成ピレスロイド系殺虫剤で、接触作用による殺虫力と極めて速いノックダウン効果を示します
ミツバチに対して影響があるので仕様に注意すること。
劇物なので取扱注意。
山東農薬オンラインなどの農薬専門店のwebサイトで購入できます。会員登録が必要です。
※劇物について
購入には「印鑑」が必要です。販売店に備えている譲受書に住所・氏名・職業などを記入し、印を押して購入します。盗難、紛失、流出などの事故を防ぐため、必要最小限の量を買い、使い切るようにしましょう。
また、保管、貯蔵、陳列場所には「劇物」の文字を表示しなければなりません。必ず施錠できる設備に保管し、管理者の目の届くところで管理し、一般人が容易に近づけないようにしておく必要があります。
物理的にハダニをやっつける資材
●住友化学園芸 粘着君
化学殺虫成分を含まない、環境にやさしい「ソフト農薬」の1種です。
有効成分に食品であるでんぶんを使用し、安全性が高く、また物理的に殺虫するため、害虫の抵抗性発達のおそれがほとんどありません。
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●アーリーセーフ(有効成分:脂肪酸グリセリド IRACコードなし)
created by Rinker¥794 (2024/12/03 20:23:39時点 楽天市場調べ-詳細)天然物(ヤシ油)由来の有効成分で、有機JAS規格(オーガニック栽培)でも使用可能なダニ剤があって、野菜類やハーブのハダニ、アブラムシ、コナジラミ、うどんこ病の防除に効果的です。
農薬で手が荒れたり体の調子が悪くなる人はこれがおススメかも
多肉植物のハダニ対策と適用農薬の一覧のまとめ
ハダニは風に乗ってどこからでもやってくるので、園芸に携わる人は全員注意が必要です。
高温になっても乾燥させなければ大発生はしませんので、保湿をしながら多肉が蒸れて腐らないように風通しも確保しましょう。
生活環が1世代10日程度なので、10日に一度適した農薬を用いて駆除を行いましょう。
入手のしやすさや価格の面から、カネマイトフロアブル(20B)、ベニカXファインスプレー(3A、4A)、バロックフロアブル(10B)、マラソン乳剤(1B)あたりを持っておくと良いかと思います。
農薬に頼らない防除方法としては、日ごろからの木酢液散布と、発生した時には牛乳を薄めたものやでんぷんのりを薄めたものなどを散布しても効果があります。
ハダニが大発生すると株の栄養を吸われ弱ってしまうだけでなく、種類によってはウイルスを媒介することがありモザイクウイルス病の原因にもなるので早期発見・早期対処を心がけましょう。
葉っぱにカサブタみたいな小さな傷がある、成長点が縮れている、などの症状があったら葉の裏や密になっているところをよく見てみましょう。
きちんと対策すれば駆除の難しい害虫ではないので、落ち着いてしっかり行動しましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました♪
あなたの多肉ライフの役に立つことを願っておりますヾ(*´∀`*)ノ
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