はいどうも、もじゃさんです。
今回はやんごとなき事情があって、ちょっと実験してみました。
何を試したのかというと、
「素焼き鉢に赤玉土(中粒)を入れてアクアセルの上に置いたら、土はどのくらい湿るのか?」
です。
なんでこんなことをしたかというとですね、塊根植物なんかの発根管理って結構面倒くさいじゃないですか。
株元はできるだけ濡らしたくない。でも、土の下の方には少し湿り気を持たせて「こっちに水あるぞー」と根を出すきっかけになってほしい。
とはいえ普通に腰水すると土全体がビッチャビチャになりやすいし、ちょうどいいところまで水を吸わせて毎回引き上げるのも面倒。
置きっぱなしで、いい感じの湿り気を維持できないもんかねぇ……。
そこで思いついたのが、乾きやすい素焼き鉢と、水を保持して少しずつ供給できるアクアセルを組み合わせる方法です。
そもそもアクアセルとは?
今回使ったアクアセルは、植物の水管理をサポートするために作られた、吸水性・保水性の高いスポンジ状の園芸資材です。
メーカーの株式会社ハクサンによると、100%再生材を使用して作られていて、一般的なウレタンと比べて約6倍の水を吸収するとされています。
水をため込むだけではなく、鉢底などをアクアセルに接触させておくことで、鉢や培養土側へ水分を供給する使い方ができます。
本来は植物の水やり管理を楽にするための資材なんですが、
「これ、素焼き鉢と組み合わせれば発根管理にちょうどいい湿り方を作れるんじゃね?」
と思ったのが今回の実験のきっかけです。
今回比較する2種類の素焼き鉢
今回は2.5号の素焼き鉢を2つ用意して、吸水方法を変えて比較しました。
- 素焼き鉢A:普通の素焼き鉢。鉢底ネットを敷き、鉢そのものをアクアセルシートに接触させる。
- 素焼き鉢B:底穴から小さなアクアセルを差し込み、アクアセルを赤玉土に直接接触させる。
つまりAは「素焼き鉢を通して間接的に吸水」、Bは「アクアセルから赤玉土へ直接給水」という違いです。
この違いで、吸水速度と土の湿り方がどのくらい変わるのかを見ていきます。
実験素材
- 2.5号素焼き鉢 ×2
- 赤玉土(中粒) ほどほど
- 鉢底ネット 20mm × 20mm 1枚
- アクアセルシート(高さ10mm × 奥行220mm × 幅150mm)1枚
- アクアセル 小(高さ10mm × 奥行50mm × 幅10mm)1枚
- ちょうど良さげな発泡スチロールの箱
実験手順
まず、素焼き鉢Aには鉢底ネットを敷き、鉢・ネット・赤玉土を合わせて200gになるように調整しました。

素焼き鉢Bは、底穴から小さく切ったアクアセルを二つ折りにして差し込みました。

このとき、アクアセルの下端が素焼き鉢の足と同じくらいの高さになるよう、底穴から少しだけ出してあります。

こちらはアクアセルを含めて201gになるように赤玉土を入れました。

発泡スチロール箱の底にアクアセルシートを敷き、シートの上端より水面が少し低くなる程度まで水を入れます。
アクアセル全体に水がなじんだところで、左側に素焼き鉢A、右側に素焼き鉢Bを置いて実験スタート。

実験結果
まず結果を一覧にすると、こんな感じになりました。
| 経過時間 | 素焼き鉢A | Aの重量増加 | Aの土の湿り方 | 素焼き鉢B | Bの重量増加 | Bの土の湿り方 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 開始時 | 200.00g | 0g | 乾燥状態 | 201.00g | 0g | 乾燥状態 |
| 1時間後 | 202.92g | +2.92g | 鉢底は湿るが、赤玉土はほぼ乾燥 | 205.68g | +4.68g | 最下部1列程度が湿る |
| 10時間後 | 204.20g | +4.20g | 1時間後とほぼ変化なし | 217.84g | +16.84g | 底から約1cmまで十分湿る |
| 2日目 | 209.64g | +9.64g | 底から約1cmまで湿る | 229.75g | +28.75g | 口縁付近まで湿る |
| 3日目 | 未測定 | ― | ― | 未測定 | ― | ― |
| 4日目 | 214.57g | +14.57g | 鉢の中央付近まで軽く湿る | 247.17g | +46.17g | 表面までしっかり湿る |
| 5日目 | ほぼ変化なし | 具体値未記録 | 大きな変化なし | ほぼ変化なし | 具体値未記録 | 大きな変化なし |
※「重量増加」は開始時の重量との差です。素焼き鉢自体も水を吸うため、重量増加のすべてが赤玉土に含まれる水分という意味ではありません。また、実験中には蒸発も起こるため、実際にアクアセルから移動した総水量とも一致しません。
1時間後
1時間後。どちらの鉢も、さっそく水を吸い上げていました。

素焼き鉢Aは202.92g。開始時の200gから2.92g増加しました。

ただし、鉢の中を確認すると湿っているのはほぼ鉢底部分だけ。赤玉土には、まだほとんど水が上がってきていませんでした。

一方、素焼き鉢Bは205.68g。開始時の201gから4.68g増加しています。

AとBの総重量だけを見ると2.76gの差がありますが、開始時からBの方が1g重いため、重量増加量の差は1.76gです。
鉢の中を見ると、こちらはすでに一番下の1列分くらいの赤玉土に湿り気が出ていました。

10時間後
10時間後、素焼き鉢Aは204.20gになりました。開始時からの重量増加は4.20gです。

鉢の中の湿り具合は1時間後と比べてほとんど変わらず。土への水の上がり方はかなりゆっくりです。

対して素焼き鉢Bは217.84g。開始時から16.84g増加しました。

土も鉢底から約1cmの高さまで十分に湿っていました。

ここまで来ると、AとBでは水の上がり方が明らかに違います。
2日目
2日目になると、素焼き鉢自体は口縁の下あたりまで水を吸い上げてきました。

素焼き鉢Aは209.64g。開始時から9.64g増加しました。

土の湿り気は、ようやく鉢底から1cmくらいまで上がってきました。

素焼き鉢Bは229.75g。開始時から28.75g増加しました。

こちらはかなり速い。土の湿り気が鉢の口縁の下あたりまで上がってきていました。

3日目
イベント出店のため、まさかの記録取り忘れ。。。
なので3日目はデータなしです。
4日目
4日目。素焼き鉢Aは214.57gになりました。

開始時からの重量増加は14.57g。
そして肝心の土ですが、鉢の真ん中くらいまで軽く湿った状態になっていました。

これですよ、これ。
上までビチャビチャにはならず、下から中間あたりにかけてゆっくり湿っている。今回自分が欲しかったのは、まさにこんな感じです。
一方の素焼き鉢Bは247.17g。

開始時から46.17g増加し、赤玉土は表面までしっかり湿っていました。
4日目の重量増加量で比較すると、Aが14.57gなのに対してBは46.17g。BはAの約3.17倍の重量増加になりました。
5日目
写真は撮ってないんですが、5日目はどちらも重量にほとんど変化なし。
この実験条件では、4~5日ほどで吸水と蒸発のバランスがある程度落ち着いたように見えました。
AとBでは水の上がり方がかなり違った
今回の結果で一番面白かったのは、同じアクアセルシートの上に置いているのに、底穴へアクアセルを差し込むだけで土の湿り方が大きく変わったことです。
- 素焼き鉢A:水分の上昇がゆっくり。4日後でも鉢の中央付近まで軽く湿る程度。
- 素焼き鉢B:水分の上昇が速い。2日目には口縁付近まで湿り、4日目には表面までしっかり湿る。
つまり、アクアセルと土を直接つなぐかどうかで、給水の強さをかなり変えられそうです。
考察:発根管理に使うならAがちょうどよさそう
自分が今回欲しかったのは、
株元付近は比較的乾いた状態を保ちながら、その下には湿り気がある。
そんな状態です。
素焼き鉢Aは4日経っても土の中央付近まで軽く湿る程度で止まり、今回狙っていた状態にかなり近くなりました。
対してBは、4日目には土の表面までしっかり湿っています。
なので、休眠状態の塊根植物や胴切り直後など、株元を長時間湿らせたくない発根管理ではA方式の方が使いやすそうです。
逆にB方式は、常時ある程度の湿り気を保ちたい用途ならかなり使えそうですね。
例えば播種なんかでは、上から水をかけなくても下から均一に湿らせられるので相性が良さそうです。
ただ、ずっと素焼きが湿っているせいで、すごくカビるのはヤだなーと思いました。鼻がムズムズするんよ。
ついでに、底面からゆっくり水を供給するメリット
底面から水を供給する方法には、もうひとつメリットがあります。
表面からジョウロなどで水を注ぐと、赤玉土が動いたり、場所によって湿り方にムラができたりします。
特にまだ根のない株や播種したばかりの種子では、用土が動くことで株や種まで動いてしまうことがあります。
その点、底から静かに水分が上がってくる方法なら、用土をほとんど動かさずに湿らせられます。
通常の鉢植とかにも使えて、水やりの回数や水やりのクオリティが劇的に上がるのでアクアセルはおススメです。もじゃさん色んなのに使っています。
そして伝説へ…、じゃなくて実践へ
ということで、今回の実験で確認したのは、あくまでアクアセルと素焼き鉢を組み合わせると、どのように水が上がってくるのか までです。
実際に植物は植えていないので、この湿り方によって実際に発根が早くなることまで確認したわけではないです。
まぁ、早くなるか、とか調べるのはクッソめんどくさそうなんでやりませんが。
「この状態なら発根管理に使えるんじゃないか?」というのが、今回の実験の目的なんでいざ実践。
で、珍妙な形に惹かれてうっかり買ってしまったオトンナ・ヘレーの発根管理に、この方法を使ってみることにしました。

果たしてこの「下だけほんのり湿っている作戦」で腐らず発根してくれるのか。
その様子はこちら↓